グラビア印刷について
グラビア印刷のながれ(機械部分)
給紙部でロール状のフィルム生地を装着し、印刷ユニットに送り出します。グラビア印刷機は、1色ごとに1つの印刷ユニットを持っていて、使用するユニットの数は色数によって 決まり、5色であれば5ユニットを使用します。
刷り色は、イエロー(Y)マゼンタ(M)シアン(C)ブラック(K)の4原色のほか、特色と呼ばれる指定色の使用が可能です。媒体が透明であるため、柄に応じて白版を作成する必要があります。シリンダの一部がインクパンに浸され、セル(溝)をインクで満たします。グラビア版全体にのったインクをドクター刃によって掻き落とし、圧着ローラーで版に残ったインクが転写されます。
別の層のインクを吸収する前に完全に乾燥していなければならないため、熱風乾燥機にかけられ次の色へと同じ工程を行います。巻取り部では印刷されたフィルム生地が巻き取られて製袋加工に回る段階では巻取りの状態で納品されます。
グラビア印刷全体図
グラビア印刷の転写技術
グラビア印刷は凹版印刷の一種です。印刷速度の速さと使用されるシリンダ(版)の耐久性から、大量部数の印刷に適しています。グラビア版は円柱状の金属ロール(シリンダ)の表面にセルと呼ばれる独立した溝を形成しており、セル(溝)の大きさ、深さを変化させることでインクの転移量を変化させ色の濃淡を出すことが出来ます。微細な濃淡を表現することを得意としており、特に写真画像の印刷に適した印刷と言えます。高精度な写真再現性を生かし美術書や写真集、そして食品やお菓子などの包装フィルムへの印刷に用いられています。
グラビア版の製造工程
製版はシリンダーと呼ばれる鉄の円柱に銅メッキを施し、真円になるように研磨した後、レーザー、または彫刻による製版を行い、強度を保つためクロームメッキ加工をしてグラビア版が完成します。
■ 製版までの準備(印刷現場にある版を引き取る事から始まります)
グラビア印刷注意事項
印刷不良、印刷汚れ
①インク飛び、②ひげ、③ドクタースジ、④インクカスレ、⑤トラッピング不良、⑥ツーツー汚れ、⑦雨降り現象、⑧版かぶり、⑨見当不良、⑩色違いなど、グラビア印刷ではまだまだ印刷不良が発生する危険性は数多くある。それぞれに防止策はあるが、完全とは言い難い。発生を抑えることも大切であるが、不良品を外に出さないという管理体制が重要になってくる。
インク接着不良
インクとフイルムの相性が悪い、フイルムの表面状態が悪い、インクの性能が悪いなどの原因でインクとフイルムとの接着強度が出ないこともある。コロナ放電処理の強度、フイルム添加物のブリードなどの影響もある。インクの接着不良をチェックする簡易的な方法は揉み(印刷物を手で軽く揉む)、ひっかき(印刷インク面を爪で軽く擦る)、テープ(セロテープをインク面に貼り、強く剥がす)などがあり、簡単にインクがとれるかどうかを検査する。初期の接着性が悪くても徐々に強度がアップする場合もあれば、経時的に強度が低下する場合もある。
ブロッキング
フイルムの両面ともにインクが接着しやすい状態にあると、印刷して巻き取ったときにインクの裏写りを起こす場合がある。つまり、印刷面ではない面にインクが付着する現象である。着いてはいけない部分にインクが付着するのでクレームとなる。両面処理フイルム、Kコートフイルムの非コート面に印刷する場合などに生じやすい。巻が硬すぎる場合、エージング温度が高い場合も発生しやすい。
すべり性不良
フイルムのすべり性も問題になるが、表刷包装フイルムの印刷面におけるすべり性も加工適性、包装適性に影響する。ひねり包装、共押出しフイルムの自動包装において問題になることもある。インクにスリップ剤を配合する、乾燥を十分にする、すべりのいいインクを選択するなどの対策をとる。
光電管マーク不良
光電管マークがかすれていたり、薄い色の場合には読みとれないことがある。製袋時に正確なピッチに狂いが生じたり、包装時に正しいカット位置でカットできず、インクの上でシールしたりして正常に包装できない危険性がある。
製袋時のキズ発生
特にガゼット袋の場合、折り加工しながらフイルムを引っぱるので、PEカス、異物などによって擦られて、フイルム内面に縦方向のすりキズが発生することがある。内面が柔らかいPEの場合に生じやすい。製袋機の摩擦面の清掃頻度を上げたり、シーラントをPP系に変えるなどの対策が有効である。
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